電気設備業界専門の求人サイト『工事士.com』 https://koujishi.com/を運営する株式会社H&Company(本社:東京都港区、代表取締役:佐々木 貴志)は、内閣府が発表している「国民経済計算」のデータから、建設業における労働生産性に関する最新動向について分析し、2023年2月21日(火)にレポートとして公開しました。
・2021年の労働生産性は、全産業で4,793.9円であったのに対し、建設業では3,103.5円となり【1,690.4円低い】ことがわかった。2001年比で108.4%と改善傾向にあるものの、全産業の改善幅と比べると【10.4ポイント低い】結果となっている。
・2021年の建設業の実質国内総生産額は、2001年比で78.7%、就業者数は同74.5%となった。実質国内総生産額の減少以上に就業者数は減っていることが見て取れる。
・2021年の1人あたり年間労働時間は、全産業で1,650.9時間であったのに対し、建設業では1,966.5時間と【315.6時間多い】ことがわかった。これは、全産業の中で最も多い労働時間である。2001年比で97.3%と減少はしているものの、全産業では89.5%となっていることから、建設業では1人当たりの年間労働時間の短縮が進んでいないと言える。
実質国内総生産額の減少以上に就業者数は減っている一方で、1人あたりの年間労働時間がほとんど変わっていないことから、建設業では労働生産性の改善が進んでいないと言える。労働生産性の改善のためには、発注者側からの適正な工期設定やICTの活用等によって、1人あたりの労働時間を短縮することが重要である。
1┃建設業の労働生産性について
2021年における労働生産性※について分析したところ、全産業で4,793.9円であったのに対し、建設業では3,103.5円となり【1,690.4円低い】ことがわかりました。(図1)
※労働生産性=実質国内総生産額 ÷(就業者数×1人当たりの年間総労働時間)で算出
建設業における2001年の労働生産性は2,864.1円であったことから、同年比で108.4%となっています。その一方で、全産業における2001年の労働生産性は4,036.4円となり、同年比で118.8%となっています。このことから、建設業での労働生産性は改善傾向にはあるものの、全産業の改善幅と比べると【10.4ポイント低い】結果となっており、労働生産性の改善があまり進んでいない状況と言えます。

2┃建設業の実質国内総生産額と就業者数について
2021年の建設業の実質国内総生産額は28兆3,238億円となり、2001年の36兆114億円と比較すると78.7%となりました。(図2)また、就業者数は464万1,000人となり、2001年の622万6,000人と比較すると74.5%となりました。
実質国内総生産額の減少以上に就業者数は減っていることが見て取れます。

3┃建設業の1人当たりの年間総労働時間について
2021年の1人あたりの年間労働時間は、全産業で1,650.9時間であったのに対し、建設業では1,966.5時間となり【315.6時間多い】ことが分かりました。(図3)
これは、全産業の中で最も多い労働時間で、労働時間がもっとも低かった「宿泊・飲食サービス業」と比較すると、959.4時間も多い結果となっています。
また、建設業における2001年の1人当たりの年間総労働時間は2,019.5時間であったことから、同年比で97.3%となっています。その一方で、全産業における2001年の1人当たりの年間総労働時間は1,843.1時間となり、同年比で89.5%となっています。

このことから、建設業での1人当たりの年間総労働時間は減少傾向にはあるものの、全産業の減少幅と比べると【7.8ポイント低い】結果となっており、労働時間の改善があまり進んでいない状況と言えます。
建設業では、全産業と比較して労働生産性の改善が進んでいない状態と言えます。それは、実質国内総生産額の減少以上に就業者数は減っているものの、1人あたりの年間労働時間が同97.3%とほとんど変わっていないことが大きな原因です。
建設業の直近の課題として「2024年問題」があります。労働時間の上限規制が適用され、この法律に違反した場合は、“6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金”という刑事罰が科されるおそれもあることから、各企業の対応が迫られています。
発注者側からの適正な工期設定やICTの活用等によって、1人あたりの 労働時間を短縮することが重要です。